きょう、こんなツイートを見かけた。
「戦争を叫んだり、あるいは、他のヨーロッパ諸国に
抵抗するように説いたようないきのよい政治家も、
実際には誰ひとりとして、フランス軍の現状について
顧慮してはいなかったのである」
――A.J.P.テイラー(フランス革命戦争を評して)
twitter:リアリズムと防衛のBOT
ぼくのブログのタイトル「巧言令色鮮し仁」というのは、
孔子の論語に出てくることばなんだけど、
孫子の兵法にも有名なことばがある。
「敵を知り己を知らば百戦して危うからず」 ということばだ。
これはその後に、「敵を知り己を知らざれば十戦に一勝を得」 と続き、
ここまで来れば既にご想像通り、最後に、
「敵を知らず己を知らざれば一戦とも危うし」 と結ばれる。
うん、「敵情の収集と同じくらい正確な現状認識も必要」 だよね、
なんて漫然と考えてたらこんなニュースが・・・
「中国戦闘機が緊急発進」=防空圏で「日米機確認」と主張-新華社報道
中国が一方的に設定した防空識別圏に空自、米軍ののべ14機(米軍の
偵察機2機と空自のE767、F15等10機の計12機という情報もある)が
中国空軍機がスクランブル発進した、というニュースだ。
仮に発表通り当初12機の軍用機が当該空域に居たとすれば、
P3、EP3、E767の非武装の偵察機、電子戦機に、1機あたり3機、
合計9機の制空戦闘機が護衛に付いた、という見方があり、
それ自体は特に問題とは思われない。なにしろ件の 防空識別圏 には
我が国の領空(尖閣諸島上空)も含まれている のだから。
ただ、これを「相手の見方」 に立って見ると、若干意味合いが変わってくるのだ。
ご承知の通り、我が国も中国も防空レーダー網が整備されている。
したがって哨戒飛行をせずとも領空に侵入しようとする航空機を(ある程度)探知できる。
しかも現代のレーダーは極めて高性能であり、飛来する機体の高度、速度、機種まで
レーダースクリーンに表示される。
今回も、こちらの機種、機数は事前に察知されていた であろう。
ただし、その様に高性能な防空レーダーシステムにも限界はある。
例えば、飛来する戦闘機がF15であることは識別できるが、
それが 制空戦闘機のF15Jなのか、戦闘爆撃機のF15Eなのかの特定はできない
(あくまで「特定できない」ということだ、事前に収集したデータによって予測は出来るだろう)。
また、F15J戦闘機だと特定できたとしても、それが自衛用の対空兵装であるのか、
爆撃用の対地兵装であるのか、という段階はレーダーではとても識別できないだろう。
「要撃戦闘機であるF15Jに対地攻撃をさせるなどナンセンスだ」 という意見もあるだろう。
ぼくも同意見だ、何ら誘導機能の無い通常爆弾を、爆撃計算機能を持たない ほぼ純粋に
制空戦闘に特化されたF15J に搭載して爆撃をさせるなど 正気の沙汰ではないとさえ
思っている。
ただ、これは 我々の見方 だ、相手の立場に立てば、自国の領土を絶対に防衛するという
任務を持っている以上、ほぼゼロの可能性でも対応せざるを得ない。ましてや、今回の
ように強大な空域管制能力を持つE767機が随伴している となれば、その可能性も
相対的に増大してくる。
したがって、偵察の意味でも戦闘機部隊をスクランブル発進させて確認せざるを得ない。
そうして、ひとつの 空域に彼我双方の戦闘機が混在する 状況となれば、否応にも
相応の緊張状態が現出する。今回中国側が何機の要撃機を出してきたかは不明だが、
中国側発表の12機とこちら側の情報の14機が正確だとすれば、その差の2機は
「増援の戦闘機」 だろう、ということは当初の 想定より以上の緊張状態が生まれた
ことは想像に難くない。
今回の飛行計画は 「状況分析のための偵察的なオペレーション」 だったのだろう。
であれば、3機の偵察機に9機の護衛戦闘機という編成は 脅威的に過ぎる のでは
なかっただろうか。ご承知の通り、E767は強大な空域管制能力を有している。
ならば、該当空域に進入する護衛戦闘機は4機程度に止め、その代わりに空域外に
増援とする戦闘機を予め(訓練名目で)哨戒飛行させておく、というプランは無かったか。
そういう戦術的な拙さは無かっただろうか、もしそういう側面があったのならば、
それは 準備不足 に起因するものではなかったか。
今回、米軍の偵察機に米軍の戦闘機は随伴していない。だとすればそれは
「偶発的な武力衝突にエスカレートさせない」 ための非常にコントロールされた措置
だと思う。さらにそれは、米軍と航空自衛隊が高度な連携能力、強固な信頼関係を
有している という証明となり、それは 日米安保条約が有効に機能している ということの
裏付けであるという、明確なメッセージともなり得る。
であるとするならば、今回のオペレーションは単なる挑発行為ではなく、それだけ重要な
メッセージを込めたいわば プレゼンテーション だったはずなのだ。それならば、いや、
であればこそ、事前に周到な準備をするべきでは無かっただろうか。
敵(潜在的な脅威)を知ることは重要だ。だが、己を知る(省みる)ことも同じだけ
重要だと思うのだ。 「敵を知り己を知らざる」ことは、徒に勝ち目を下げる こととなる。
などと考えていたら、アメリカは、今回の中国側のスクランブル発進については
一切触れていない(ということは、否定も肯定もしていない )、日本政府は公式に
否定 した 。この3ヶ国の温度差は何を意味しているのだろう。
なんだろう、いやな胸騒ぎがする・・・
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